硝子体手術が必要な病気
- 糖尿病網膜症
- 糖尿病の合併症の一つで、網膜の毛細血管が閉塞して血の巡りが悪くなり、硝子体の出血や黄斑部の浮腫、さらに進行すると牽引性の網膜剥離を引き起こして視力が低下します。網膜の毛細血管が閉塞して血の巡りが悪くなり、硝子体の出血や黄斑部の浮腫、さらに進行すると牽引性の網膜剥離を起こし、視力が低下します。
このように糖尿病網膜症の進行を予防出来なかった場合や、すでに網膜症が進行して網膜剥離や硝子体出血が起こった場合に硝子体手術は行われます。糖尿病網膜症は、糖尿病腎症・神経障害とともに糖尿病の3大合併症の一つで、わが国では、緑内障とともに成人の重大な失明原因となっています。
- 黄斑浮腫
- 黄斑浮腫(おうはんふしゅ)とは、網膜の中心となる黄斑部に液状の成分が溜まり、むくみを起こして視力低下をきたす病気のことです。視力低下のほか、物がぼやけて見える、ゆがんで見えるなどの症状を引き起こします。黄斑浮腫は、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、ブドウ膜炎など、さまざまな病気が原因となって引き起こされます。
- 黄斑前膜
- 眼球の網膜の前に線維性の膜が張って黄斑部を引っ張って見えにくくなってしまう病気です。この病気は、黄斑円孔と同じく硝子体の収縮が関係して起きるため、高齢者と女性に多い病気です。加齢のほかに、網膜剥離や網膜裂孔の治療後、あるいはその他の眼底の病気に続いて生じることもあります。黄斑円孔のように視野の中心が全く見えなくなることはありませんが、網膜にしわが生じ、物が歪んで見えたり、視力が低下したりします。頻度的には黄斑円孔よりも多くみられます。
- 黄斑円孔
- 網膜の中心部の中心窩に穴が開いてしまう病気です。加齢による硝子体の変化によって網膜が引っ張られ、穴ができることが原因です。穴自体は直径1ミリメートルに満たないとても小さなものがおおいですが、最も視力が鋭敏な部分にできるため、視覚には大きな影響が現れます。完全な穴が形成されてしまうと、視力は0.1前後まで落ちてしまいます。この病気の発症には硝子体の収縮が関係しているため、後部硝子体剥離が起こる60代をピークに、その前後の年齢層の人に多い傾向があります。
- 硝子体出血
- 網膜の血管などが切れて、硝子体腔に出血が溜まった状態を硝子体出血と言います。通常、出血の量は多いため、光が出血により網膜までうまく届かずに視力障害を引き起こします。出血の量が少なければ、飛蚊症(ひぶんしょう:虫が飛んでいるような点が見える)の症状が起こります。
- 硝子体混濁
- 透明である硝子体が何らかの原因で混濁(濁って)している状態が「硝子体混濁」です。
混濁を起こす原因として考えられる疾患はいくつか考えられます。もっとも頻度の高いのは、網膜や脈絡膜に炎症が起こり、血管からにじみ出た炎症性細胞やたんぱく質が硝子体に侵入することです。これにより硝子体が混濁し、飛蚊症や目のかすみ、視力低下が起こります。
通常は、ステロイド剤の薬物により混濁を抑える治療が行われますが、反応が不良で、混濁が軽減しなかった場合や網膜剥離などを併発したときには、硝子体手術が必要になります。また硝子体を生検して、悪性リンパ腫などの悪性疾患の有無,ウイルス、細菌などの診断を行います。
- 眼内レンズ脱臼
- 眼内レンズが入っている袋(水晶体嚢)を支える組織(Zinn氏帯)が脆弱になっており、眼内レンズの位置がずれてしまっている状態です。眼内レンズがずれてしまうことで、視力低下や高眼圧、また眼内レンズ水晶体が眼内に落下してしまうことで、硝子体出血や網膜剥離を生じる可能性があります。
眼内レンズを強膜内(白目)に固定することで眼内レンズの位置を修正し、視機能の向上を図ります。 手術の内容としては、偏位、脱臼した眼内レンズを水晶体嚢ごと眼外に摘出し、眼内の硝子体を除去します。その後、新たに眼内レンズを挿入し、強膜内に支持部を固定します。